この本がすごいです。
ぜひ、みんなに読んでほしい。
この本を書いたのは、
岡山の田舎にある、タルマーリーというパン屋の主人です。
こだわりがすごくて、
天然酵母も自家培養。
和食パンという、ちょっと変わったパンは、
麹菌を使って発酵させるのですが、
その麹菌も手作り。
パン工房に住み着いた、天然の麹菌を育てて(培養して)、使っているのです。
ぼくが大好きな、江戸時代の酒づくりを復活させた「寺田本家」という酒蔵がありますが、
それのパン版と言えます。
タルマーリーさんは、菌と向き合う中で、いろいろなことに気づきます。
菌が、いろいろなことを教えてくれる。
化学物質など、人間のよぶんな手が入ると、パンが膨らまなかったり、
有機農業の小麦と、自然農の小麦で、パンの膨らみ方が変わったり、
地元の食材同士を組み合わせた時の方が、パンが膨らんだり、
理屈ではなく、実際にパンが膨らむかどうか、
酵母たちが、発酵してくれるかどうかで、
自然の営みを感じ取り、
どうあるべきか、学んでいくのです。
菌などの微生物と向き合うということは、
まさに、自然と生きるということ。
菌が喜ぶということは、
自分の体の細胞たちも喜ぶということであり、
自然の、宇宙の営みに沿うということなのです。
繊細な菌と向き合うからこそ、見えてくる世界があるようです。
そして、
タルマーリーさんは、
いろいろなパン屋で修業し、自分たちのパン屋を開くまでの過程で、
現代のパン業界、さらには現代の経済の仕組みのおかしさを感じ取っていきます。
経済成長(GDP)ばかりを追いすぎる、
お金中心の資本主義経済が問題だって、よく耳にしますが、
何が問題で、どうあるべきか、
「パン屋をする」という身近な視点から解説してくれて、とてもわかりやすいです。
以前のブログで紹介した、
寺田本家の前当主の「発酵道」という本もすばらしいですが、
それと並んで、
自然と共存する持続的な生き方や、経営の在り方を考えるヒントになると思います。
興味ある方は、ぜひぜひ、読んでみてください。
田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」
昨年11月に、岡山のお店にも行ってきましたが、
それはそれは、おいしいパンでした。
近くに行った際には、ぜひ、寄ってみてください。
タルマーリー
http://talmary.com/