韓国で、国連の生物多様性会議に参加してきた

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昨日まで、韓国の、ピョンチャン(平昌)で開催されている、
国連の、『生物多様性会議(COP12)』に参加してきました。
正確には、国連生物多様性条約第12回締約国会議というそうです。長!(笑)

近年、地球では、環境破壊が進み、多くの生物種が絶滅に追い込まれ、
今まで存在していた全生物種の、25%が、絶滅しようとしています。

ある生物種が絶滅すると、連鎖的に他の生物種も絶滅の危機になり、
歯止めが掛からなくなる恐れがあり、
今、地球は、けっこうな、危機的状況にあります。

環境問題は、1つの国だけでは解決できません。
地球は、つながっているので、各国が足並みをそろえて取り組まないと、解決しないのです。

そこで、国連主催で、2年に1回、
生物多様性会議(COP)が開催されています。

各国の政府が集まり、環境を守るための世界ルールが策定されます。
元々は、政府だけの会議でしたが、
1992年より、政府だけでなく、
NGOや、企業、自然とともに暮らす先住民や、未来を担う若者たちも参加するようになりました。

NGOとは、Non Government Organization(非政府組織)の略で、
政府ではなく、民間人が、世界のために、非営利で活動する組織です。

NGOは、国の利害関係と無関係のため、
各国のNGOどうしが、国を超えて協力し、国際問題を解決しやすいと言われています。

ぼくは、今回、NGO「いきものカフェ」の仲間に入れてもらい、
生物多様性会議(COP12)に参加することができました。
参加の経緯は、以前のブログをご覧ください。
http://nunyoga.seesaa.net/article/402799055.html

いきものカフェは、日本の生物多様性に関わるNGOの総代表である、坂田昌子さんとともに、
全国各地で、生物多様性について考える人たちの集まりです。
坂田さんは、おそらく、日本で一番、生物多様性の現場活動に詳しい人であり、
日本の自然環境を守るため、全国を奔走していますが、
いきものカフェの集いでは、
気さくに、わかりやすく、情熱的に、環境問題について教えてくれる、
すごい方です。

今回の会議中も、超多忙にも関わらず、
理解不足のぼくたちのために、いろいろと解説してフォローしてくれました。

NGOは、政府と比べて、
現場で活動しているため、知識が豊富で、
世界各国と連携しているため、データも多く、広い知見を持つ傾向があります。

政府は、情報豊かなNGOに頼りたいという気持ちと、
国の政策に反対して自然保護を訴えるNGOを邪魔だと思う気持ちと、両面あり、
とても微妙な関係性のようです。

生物多様性会議(COP)では、各国の政府首脳どうしで条項を作る本会議のほかに、
20ぐらいの部屋で、同時進行で、サイドイベントと呼ばれる様々な分科会が行われており、
ぼくたち参加者は、スケジュールを見ながら、好きなものに参加することができます。

サイドイベントは、政府主催のものもあれば、
NGO主催、企業主催、先住民主催、ユース(若者グループ)主催など、様々で、
それぞれが、みんなに伝えたいことや、話し合いたいことを、プレゼンし、情報交換しています。

自然環境を取り戻した成功事例や、
逆に、自然を破壊してしまった悪い事例が発表されたり、
科学的、専門的なこともあれば、
人の巻き込み方だったり、市民運動の成功例だったり、
地方自治体(市町村)から変革をおこした例だったり、
様々な内容があり、

お互いに情報をシェアし合うことで、
ヒントを得られたり、今後の参考にしたりできるようになっています。

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生物多様性会議(COP)の主目的は、
開催される2週間の間に、
各国どうしで、環境に関する条項(世界ルール)を決めることです。

決めるのは、政府なので、NGOの人達には、発言権がないのですが、
政府の決定に、影響を与えることは可能です。

1つは、会場に、各国のマスコミがたくさん来ているため、
マスコミに訴えかけ、マスコミを通して、各国に情報を伝えることができます。
それが大きくニュースで報道されると、即座に政府の態度が変わることもあるそうです。

2つ目は、各国の政府に「入れ知恵」をできるということです。
NGO側から、政府に面会を申し入れることもあるし、逆のこともあります。

NGOが働きかけるのは、自国の政府のこともあるし、
別の国の政府に働きかけることもあります。
というより、NGO側は、各国が連携して、一体となっているので、
もっとも最適な国の政府に働きかけ、その政府を通して、発言してもらうのです。

各国のNGO連合チームの人たちは、
会議(COP)の2週間、少しでも良い条項を作るため、寝る間も惜しんで、活動していました。

伝えたいことをまとめた冊子を作って配ったり、
サイドイベントのプレゼン資料を作ったり、
声明文を作ったり、
いろんな手段を使い、思いを伝えることに、全力を尽くしていました。

海賊に扮して、パレード(デモ)をして、
もっとも地球環境を侵害している国や企業に、
海賊賞(パイレーツ・アウォード)を称して発表したりしました。
おもしろおかしくすると、メディアも多数取材してくれるようです。

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ぼくたちのパレードが、翌日には、朝日新聞の記事になっていたようです。
このスピード感がすごい。

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そして、今回、坂田さんは、NGOのサイドイベントのために、
元首相の、菅直人さんを連れてこられました。
菅さんは、3・11の震災が起こった時の首相で、震災後の福島原発を収集する責任者の立場にありました。

今回、菅さんは、おっしゃいました。
「震災前までは、原発が安全だと信じて、海外に、原発を輸出することを推進していた。
でも、震災で、原発が安全でないことを悟り、今は、はっきり、原発はやめるべきだと思う」

3・11の震災後、放射能が、地面や海に流れ続けています。
(今週の台風後、過去最高の放射能が検出されたそうで)
生物多様性を守る上では、やはり原子力エネルギーは、問題が大きいようです。
今回の原発事故の情報を整理し、シェアしていくことで、
今後に生かしていかなければいけません。

そして、坂田さんは、生物多様性の条項(世界ルール)のひとつに、
原発に関する規制を入れたいと考えています。
もし、その条項が入れば、各国は、その基準を守ることが求められるため、
とても大きな力を持つのです。
でも、原発は、経済的なメリットが大きいと考える国も多いため、
簡単なことではなく、何年かかけて、長期的に取り組む必要があるそうです。

今回、菅さんが参加した、福島原発事故に関するサイドイベントは、
今回の会議中のサイドイベントの中で、もっとも注目を集めたそうで、
今後の生物多様性の条項に追加するための、大きな足掛かりとなったようです。

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今回の会議には、日本各地で環境保護活動をしている方々も、来られていました。
愛知県の設楽ダム建設に反対している方々、
山口県祝島の、上関原発に反対している方、
東京と大阪を結ぶリニアモーターカーに反対している方々、
それぞれ、地元の豊かな自然の大切さを訴えていました。

自民党政権に戻ってから、
一度は止まりかけていた大型の公共事業が、また復活し始めていて、
自然より、経済優先、
短期的な利益を優先する傾向が強いようです。
長い視点で見て、何が本当に大切か、バランスを見ながら判断していく必要があると思います。

ぼくは、今回の会議に参加してみて、
ぼくたち、ひとりひとりが、
微力ながら、より良い社会づくりに貢献できるというイメージを、
より強く持てるようになりました。

政府や、地方自治体(市町村)、企業、市民が、
お互いの立場を尊重し合い、理解し合い、
なかよく、コミュニケーションを取りながら、
協力して動いていく必要があると思います。

まずは、どんな世の中にしたいか、
良いヴィジョンを描くところから!

人も、地球も、将来にわたって、
すこやかで美しいものになったらいいなと思います。

今回のすてきな経験に、感謝です。

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