しあわせの経済国際フォーラム2019 レポート①

今年の「しあわせの経済」国際フォーラムも、たくさんの学びと気づきをいただきました。今年はヨガだけでなく、司会にも関わらせていただき、 貴重な体験をしました。

フォーラムで受け取った学びをシェアしたいので、主観的&部分的ではありますが、簡単なレポートにまとめてみます。

しあわせの経済・国際フォーラムとは?

「しあわせの経済学」の著者である、ヘレナ=ノーバー・ホッジさんや、「スロー・イズ・ビューティフル」の著者である、辻信一さん達の呼びかけにより、日本でも3年前から開催されているフォーラムです。今年は、11/9-10の2日間(11/8は前夜祭)、横浜の戸塚で開催されました。

・しあわせの経済・国際フォーラム WEBサイト
http://economics-of-happiness-japan.org/

経済が成長しても、人々の幸福度は、上がっていないと言われます。
ヘレナさんの研究などで、人々のしあわせ度の鍵を握るのは「ローカリゼーション」だということがわかってきました。

このフォーラムでは、いかに「グローバリゼーション」から「ローカリゼーション」に、経済活動(お金や物の流れ)をシフトしていくかが主なテーマになっています。

「ローカリゼーション」について知りたい方は、3分にまとめられた以下の動画がわかりやすいです。
ローカルで行こう!〜地域からはじまる好循環

詳しく知りたい人は、以下の本がおすすめです。
・『ローカル・フューチャー 「しあわせの経済」の時代が来た』
http://namakemono.shop-pro.jp/?pid=122914525

・「しあわせの経済学」の映画もあります。ネットレンタルもあるようです。
http://shiawaseno.net/

現在は、グローバル企業が力を持って政治も支配しているため、大きな企業ほど税制が優遇されるなど、お金がどんどんグローバル企業に集まり、貧富の格差がどんどん大きくなるような仕組みになっています。

規模が大きくなり、顔の見えないやり取りになるほど、やさしい心遣いが行き届かなくなります。お金の効率が最優先されると、環境や文化が犠牲になってしまいます。

今回のフォーラムでの、ヘレナさんの講演では、「ビッグ・ピクチャー」という言葉が盛んに出てきました。広い視点で将来の理想イメージを描き、みんなで共有していくこと。それを目指して、みんながそれぞれの立場から、できることを実践していく。そうすることで、大きな流れが変わっていくそうです。

マイケル・シューマンさんのお話

マイケルさんは、地域活性ビジネスを研究する経済学者です。マイケルさんの具体的な理論により、これまで数々の地域が、活性化に成功してきました。

マイケルさんによると、まずは、地域の外に流れてしまっているお金の流れをみつけて、できるだけ地元(ローカル)での消費に変えていくことが大事だそうです。

できるだけ地元産のものを買う。グローバル企業からでなく、できるだけ地元の個人商店から購入する。たとえば銀行も、メガバンクでなく、地域の信用金庫に預ける。

それを目指すことで、地域での色々なビジネスチャンス(ローカルビジネス)が見えてくるそうです。
たとえば、自分たちの地域で銀行を作る、マイクロファイナンス(小規模金融)。
たとえば、自分たちの地域で電力を作る、電力自給(オフグリット)。

そのように、地域内でまかなえるようになるほど、地域は潤い、地域の人同士のつながりが濃くなり、しあわせ度が増していくそうです。

マイケルさんの以下の本は、日本語訳されていて、わかりやすいそうです。
・スモールマート革命 -持続可能な地域経済活性化への挑戦-
https://bookmeter.com/books/7385463

堤未果さんのお話

「貧困大国アメリカ」「日本が売られる」などの人気書籍の著者でもある、国際ジャーナリストの堤未果さん。

現在の、水道の民営化、種の問題など、どのようにグローバル企業の都合で、世界各国の法律が変えられているかが語られていました。

元々、地球の自然資源は、みんなのものであるはずなのに、お金のために企業に独占され、破壊されています。

以下の書籍は、衝撃的な内容ですが、どのように政治がお金で買われているか、とてもわかりやすくて、おすすめです。

・日本が売られる
https://www.gentosha.co.jp/book/b11958.html

小林武史さん、四井真治さんのお話

ミスチルなど数多くの音楽プロデュースを手掛けてきた小林武史さんが、パーマカルチャー実践者の四井さんとともに、2019年10月、千葉県木更津市に「クルックフィールズ」をオープンしました。

これからの人や社会の豊かさを提案するサステナブル ファーム&パークとして、「農業」「食」「アート」を軸に、約9万坪の広大な農場で、食を通じて、これからの人や社会の豊かさを提案していくそうです。

・KURKKU FIELDS(クルックフィールズ)
https://kurkkufields.jp/

雑誌「Pen」の最新号でも、「小林武史と考えるサステイナブル」というタイトルのもと、この施設の詳細を紹介しています。
https://www.pen-online.jp/magazine/pen/485-sustainable

パトリシア・モゲルさんのお話

パトリシアさんは、森林農法の研究者であり、先住民文化や自然環境の保護に取り組むメキシコのリーダーです。  

パトリシアさんたちの地道な活動が実り、2018年末に就任したメキシコ新大統領は、国の政策として森林農法を推奨していくことを掲げ、GDP(経済成長)を目指すのではなく、自然保護、そして地域の文化やつながりを生かしていく方向に、シフトしつつあります。

パトリシアさんが紹介してくれたメキシコの希望あふれる事例にワクワクしました。世界の先駆けとも言えるメキシコの事例が、どんどんシェアされていくといいなと思いました。

サミ・アワッドさん、サアド・ダゲールさんのお話

パレスチナのガンジーとも言われる「サミさん」。現在のパレスチナとイスラエルの状況。いかに人同士、人と自然が分断されているか?そしてその中で、どのような希望があるかが語られました。

サアドさんは、そのような状況下においても、オーガニックな農業をトライ&エラーをしながらやり続け、エコヴィレッジを設立しています。

サミさんは、11/16(土)に、神戸に来られ、spaceわにでお話会をします。

まずは問題を知ることから。そして、色々な分断の壁を超え、いかに愛とつながりを取り戻すかを、みんなで考える温かい時間にしたいと思っています。

スウェさんのお話

タイ北部に暮らす、カレン族のスウェさん。
スウェさんから、カレン族の色々な教えをいただきました。

スウェさんたちは、自らを「Lazy Man(なまけもの)」と名乗り、「地球のために、ゆっくりと」というスローガンを掲げています。「Slow」ムーヴメントを広めている辻信一さんと、まさに同じコンセプト。

Slow down for the earth.
地球のすべてのものが、共存できるように。

スウェさんが教えてくれた、Lazy boy という物語の言葉がすてきでした。

自然が働くままにし、
時を待ち、
敬い、
ゆっくりと小さく始め、
学んで観察し、
待って信じて、
しあわせをみつける。

急ぎすぎることが、将来世代の幸せや、色んな生物の幸せを奪ってしまう。
自然に任せて、自然を待つ、なまける幸せを目指したいです。

しあわせの経済フォーラムの2日目(分科会)については、また後日、続きのレポートを書こうと思います。

photos by 山田周生さん(フォトジャーナリスト、ユナイテッドグリーン代表)